ご近所で始まった「減築」の工事
ある日、郵便ポストに工事のお知らせが入っていて
「3階建ての建物を減築して平屋建てにする工事をします」との記載があった。
「減築」という文字に、思わず二度見した。
「減築」とは「増築」の反対、つまり建物を減らす工事のこと
建物の不要な部分を取り除いて、構造的な負担を減らすことで建物を長持ちさせる考え方で、少し前に建築業界では話題になっていた。
しかし「増築」をしたいという人は多くても
お金を出して「減築」をしたい人は少ないのか
少しずつ「減築」という言葉を聞く機会は無くなっていった。
これまで実際に相談を受けたことも無ければ、身の回りで減築をやっているというのをまだ見たことがなかった。
そんな珍しい「減築」が目の前で行われるというので、興味深く観察し始めた。
カメラを持って撮影をしていると
現場のおじさん達自身も珍しい工事だと思っているのか、色々と教えてくれた。
解体工事の前に、一階部分に補強を入れて、重機や解体の荷重に耐えられるようにしているのだとか。
単純に壊すよりも気を使うし、手間が掛かっている。
建物は60年前のもので、当時のコンクリートは手煉りでセメント量が多くて
なかなか頑丈にできているらしい。
どういった経緯でこの建物の所有者は「減築」を選択したのだろうか。
工事完了後には
「この建物は元々3階建てだったのですよ。」
なんていう会話が人々の間で繰り広げられるのだろうか。
工事が終わったら、色々聞きにいってみようと思う。